企業が製品やサービスを売るとき、
キャッシュバックなどを行うことがありますよね?
しかし、これら「おまけ」など
「景品類」について規制があること
をご存知ですか?
悪質な場合には、
刑罰「二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金(景表法36条)」の適用
もあり得ます。
今回はこの問題について、実務経験10年以上有する現役弁護士が解説したいと思います。
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相談例
私はトレーニングジムを経営しています。
来月に限って、
- 入会金無料、
- 入会月の利用料無料
- ジム特製Tシャツのプレゼント
- 紹介者には5000円のキャッシュバックを行う
というキャンペーンを考えています。
しかし、過剰な「おまけ」については景品表示法に違反するかもしれない。
とインターネットで知り、不安になりました。
私のこのようなキャンペーンは適法でしょうか?
結論
今回のキャンペーンは、いずれも法律上の問題はないと考えます。
(但し④については条件付き)
理由
①②③(入会金無料等)について
内閣総大臣は必要があるとき、景品類の価額の最高額を定めるなどして、これら景品類の不当な提供を規制します。
「不当景品類及び不当表示防止法4条(以下「景表法」といいます。)」
そして
不当景品類及び不当表示防止法第二条の規定により景品類及び表示を指定する件
(昭和37年 6月30日公正取引委員会告示第 3号)、改正 平成10年12月25日公正取引委員会告示第20号 、平成21年 8月28日公正取引委員会告示第13号)
によれば、
景品類には
- 正常な商慣習に照らして値引又はアフターサービスと認められる経済上の利益
- 正常な商慣習に照らして当該取引に係る商品又は役務に附属すると認められる経済上の利益
を含みません。
上記①入会金無料、②入会月利用料無料、③Tシャツのプレゼントは、
上記のいずれかに該当すると考えられます。
よって、
①②③の措置は、
景表法上規制の対象となる「景品類」に該当しないので、
同法上の問題はない
と考えます。
④紹介者への5000円キャッシュバックについて
景品類等の指定の告示の運用基準について
(昭和52年 4月 1日事務局長通達第 7号)
改正 昭和63年10月 1日事務局長通達第11号 平成 8年 2月16日事務局長通達第 1号 平成18年 4月27日事務総長通達第 4号 平成26年12月 1日消費者庁長官決定
によれば、
景品類に該当する要件の一つ
「取引に付随して(景表法2条3項)」については
4 「取引に附随して」について
(7) 自己の供給する商品又は役務の購入者を紹介してくれた人に対する謝礼は、「取引に附随」する提供に当たらない(紹介者を当該商品又は役務の購入者に限定する場合を除 く。)。
と記載されています。
よって、
紹介者をジムの会員に限定しなければ、
④は可能という結論になります。
「おまけ」や「割引」などに関する規制は見落としがちです。
一度、規制の概要やその内容を勉強しておくと、
顧問先企業の相談などに安心して対応できるでしょう。
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