相談
ある日突然警察から、呼び出しがありました。
警察署に行ってみると、
私が2ヶ月前にATMで操作画面の横に置き忘れてあった封筒入りの現金(数万円在中とのこと)を私が盗った
ということでした。
私には全く覚えがありません。
私はこれまで曲がりなりにも真面目に生活してきたつもりです。そのような事は断じてしておりません。
その事は警察に説明しましたが全く聞き入れてくれる様子はありません。
何度か警察署に呼び出しを受けて 取り調べを受けています。
しかし、まるで私が犯人かのように疑っていることが質問内容や刑事さんの態度からはっきりわかります。
この呼び出しがいつまで続くかもわかりませんし、私はこのまま犯罪者になると職を失ってしまうんじゃないか、家族はどうなるんだろうなどと考え、 精神的にも参っています。
ですので、盗ったことを認めて、被害者に弁償してこの状況から一刻も早く解放されたいのです。どうしたらいいでしょうか?
回答
やってないことを認めるのはお勧めできません。
弁護人をつけて容疑を受けている事実を争いましょう。
理由
仮に事件を認める選択をしても、被害者が被害弁償の受け取りや示談に応じてくれるとは限りません。
被害弁償金を受け取ってても、厳罰を望み続ける
という被害者もいらっしゃいます。
その場合、 逮捕される事はないでしょうが、事件が検察庁に送付され、起訴された場合、罰金刑等に処せられてしまうと、あなたに前科がついてしまうことになります。
もちろん、認めて反省の情を示すと、検察官があなたを不起訴にしてくれることもあります。
しかし、これを決めるのは検察官に大きな裁量がありますので、このことを期待するのもあまりお勧めができません。
確かに本件を認めた場合、示談がうまくいって、被害者が被害届を取り下げてくれれば、 検察庁まで送検されず終わることもあるでしょう。
しかしそれを狙うには今述べたような読めないリスクがかなりあるのです。
ですので、やってないんだったら一貫してそれを主張する。
弁護人と言う専門家をつけてそのサポートを受ける
と言うことが1番いいんじゃないかと考えています。
認めないと言う事は、自白というとても大きな証拠を捜査機関に渡さないことになりますので、証拠不十分つまり嫌疑不十分として不起訴処分になることも充分あり得ます。
証拠が十分かどうかは、本件ではATMの録画画像があるでしょうから、その画像でどこまであなたが問題の封筒を持ち去ったと言う場面が録画されているかにかかっているでしょう。
現行犯逮捕でもないので、この録画動画の証拠力が焦点になってくるでしょう。
実例
私が弁護人に選任され、取調べの対応などアドバイスしました。また、警察官から事情を聞いたりしました。
ポイントは防犯カメラの映像だったので、なんとか私も映像を確認できないか警察と掛け合ってみましたが、だめでした。
結局、否認を貫き、嫌疑不十分で不起訴となりました。
上記映像が証拠としては少し弱かった(画像のクオリティーの問題等)のではないかと推測しています。
弁護士への着手金は税抜きで20万円ほどいただき、それ以外はいただいていません。ただし、不起訴になったときは通常成果報酬が発生する場合が多いと思います。