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別府、大分の弁護士が解説!やってはいけない選挙運動5選

 

次の選挙で初めて立候補する

と言う候補者や、

前回選挙から時間が経ったので、改めて公職選挙法を確認しておきたい

という政治家、法律顧問の先生方も多くいらっしゃると思います。

 

公職選挙法の事前確認は必須です。

なぜなら、公職選挙法違反を犯すと、

刑事罰の対象になったり、

当選が無効になったりするからです。

 

今回は実務経験10年以上有する現役弁護士が、見落としがちだけど大事な

やってはいけない選挙運動5選

と題して、解説してみたいと思います。

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やってはいけない選挙運動5選

 

1 事前運動

2 戸別訪問

3 買収

4 虚偽表示

5 当選のお礼の挨拶

 

1 事前運動

 

選挙運動」は

  1.  特定の選挙について、
  2.  特定の候補者に、
  3.  投票・当選を働きかける

という3つの要素から構成されます。

 

この選挙運動は、

公示日以降の立候補届出完了時から投票日の前日まで

しかできません。

(街頭演説等は前日の午後8時までです。)

 

この期間以外の選挙運動は

すべて事前運動となり、処罰の対象となります(公職選挙法129条)

 

「選挙運動に当たらない政治活動」はいつでもOK!

 

他方で、政治活動は基本的にいつでも自由に行えます。

両者の境界は以下をご覧ください。

 

 

 

「瀬踏み行為」もいつでもOK!

 

瀬踏み行為であれば、選挙期間以外であっても行うことが可能です。

 

※瀬踏み行為とは 立候補を考える者が政策発表会などを催すことで、有権者の反応や、得票についての感触を得て、立候補するかを決める材料とする行為です。

 

詳細は以下をご覧ください。

 

 

2 戸別訪問

 

何人も

選挙人の家を訪れて

選挙運動を行うと処罰されます(公職選挙法239条1項3号)。

 

3 買収

 

当選をする目的等で、

  • 選挙人(有権者)又は選挙運動者に対し
  • 金銭、物品その他の財産上の利益
  • 公私の職務の供与、その供与の申込み若しくは約束をし
  • 又は供応接待、その申込み若しくは約束をすること

はできません(公職選挙法221条1項1号)。

 

ちなみに、

社寺、学校、会社、組合、市町村等に対する用水、小作、債権、寄附その他特殊の直接利害関係を利用して誘導をすることもできません(利益誘導の禁止、同項2号)。

 

お金持ちの候補者が有利になることを防ぐと言う立法趣旨です。

 

特にお金や利益の動きに関する規制は多岐に渡ります。

その他の公職選挙法の規定も要チェックです。

 

4 虚偽表示

 

当選を得又は得させる目的をもつて

候補者の身分、職業若しくは経歴、その者の政党その他の団体への所属、

等に関し、虚偽の表示をした場合、処罰されます(公職選挙法235条)。

 

5 当選のお礼の挨拶

 

晴れて当選を果たした後、支援者にお礼を言いたくなるのは当然のことだと思います。

 

しかし、選挙後、以下の挨拶は禁止されます(公職選挙法178条)。

 

一 選挙人に対して戸別訪問をすること。
二 文書図画を頒布し又は掲示すること。
三 新聞紙又は雑誌を利用すること。
四 テレビ、ラジを等の放送設備を利用して放送すること。
五 当選祝賀会その他の集会を開催すること。
六 自動車を連ね又は隊を組んで往来する等によつて気勢を張る行為をすること。
七 当選に関する答礼のため当選人の氏名又は政党その他の政治団体の名称を言い歩くこと。

 

違反すれば、30万円以下の罰金に処されます(公職選挙法245条)。

 

許される例外

 

以下の方法による当選後の御礼の挨拶は許されます(公職選挙法178条2号)

  1. 自筆の信書
  2. 当選又は落選に関する祝辞、見舞等の答礼のためにする信書
  3. HP、ブログ、SNSなどのインターネット等を利用する方法による挨拶

 

まとめ

 

公職選挙法には、

金権政治を防ぐ、

公正な選挙を実現する

などの目的のために、

思いもよらない違反行為、規制、落とし穴

があります。

 

立候補者であるだけではなく、それらを支援する者も、

知らず知らずのうちに選挙違反をしてしまって刑事罰、当選無効を受ける

ということも十分にあります。

 

このような事態を防ぎ、

候補者や支援者が本務である選挙運動に集中できるように、

以下の本を手元に置き、

主要支援者へも配布しておくことをおすすめします。

 

コンパクトかつ平易な記載ですが、必要十分な解説が網羅されています。

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