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家事

義務者が再婚した場合の養育費減額の可否

 

前回は相手が再婚した場合、こちらが相手に対して支払っている養育費はどうなるかと言う問題について言及しました。

今回はその逆で

養育費を支払っている側が再婚した場合、養育費を減額することができるのか?

について、実務経験10年以上を有する現役弁護士が解説したいと思います。

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相談例

AとBが離婚しました。

Bが子C(3歳)の親権者となり、育てています。

AはDと再婚し、Dとの間に子Eも生まれました。

再婚・出生により生活が苦しくなったAは、毎月Bに対して支払っている養育費を減額できないでしょうか?

結論

裁判所においてのケースバイケースの判断になるでしょう。

理由

 

現状を維持すべきという意見

Aは再婚とEの出生により、Eに対する扶養義務を有することになりました。

Aの収入が変わらなければ、生活が苦しくなるのは当然です。

AがDと再婚して、Dとの間に子Eをもうけたとしても、AとCの親子関係は続くので、AのCに対する扶養義務はなくなりません。

Aの事情によってCの養育費が減額されるのは、Cやそれを育てるBにとって直ちには納得できないことでしょう。

加えて、再婚するにあたってAはこのような経済的負担が増加する事態を予測することができ、それでもあえて再婚に踏み切ったと評価できます。

減額すべきという意見

他方で、養育費は子供のためのものですから、子C、子Eはどちらも平等に扱われるべきという意見もあります。 

つまり、Aの扶養義務の履行について、C、Eにおいて差をもうけるべきではないとの考えも一理あります。

再婚相手D側の事情

子Eを扶養する義務はDにもあるわけですから、裁判所はDもEの養育費を負担できないかと言う観点から、Dの稼働能力も審査すると思われます。

よって、

Dが何らかの職業に就くなどして稼働することが可能かどうか、

できない場合それは何故か、

Dはどのくらいの期間働くことができない状況が続きそうか、

Dの年齢、経歴、保持する資格

などのD側の事情も総合的に判断して、本件では養育費の減額請求が認められるかどうかが裁判所において判断されると思われます。

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参考文献

詳説し、かつ、良くまとまっているのでお勧めです。