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民事

会社員の副業 その2

相談

私は、会社員として働きながら、 休日など空いた時間に副業を始めたいと思っています。

少しでも家族の収入の足しになればと思うからです。

ネット上で商品を仕入れてネット上で売るいわゆるインターネットを使った「せどり」を考えています。

しかし、会社は副業を許可制にしています。

私の考える副業は会社の業務とは全く関係がありません。

会社が私の副業を不許可にした場合、会社に黙って副業を始めたら解雇されるんでしょうか?

回答

会社とあなたの間の労働契約の内容は就業規則によって規律されます。

そこでまず、就業規則を確認して、 副業の許可制に関する条項を確認すべきでしょう。

就業規則は会社内に備え付けていないといけません。

どこにあるかが分からなければ上司や総務の人などに聞いて就業規則を見せてもらってください。

 

  許可を取らずに副業した場合、あなたに対する懲戒処分や解雇は有効なのでしょうか?

結論としては、ケースバイケースとしか言いようがありません。

 

 

で述べたように、会社が会社員の副業を規制する理由は一定の合理性がある時があります。

例えば会社員が副業でがんばりすぎて、疲れてしまって、会社の労働に影響が出る場合などがあるからです。

 

他方で、会社員には労働時間外や休日 どのように使うかは会社員の自由です。

 

この相反する会社の利益と労働者の利益を調整する必要が出てきます。

 

それについては個別ケースごとに会社の主張する正当利益、つまり、不許可にしたことの正当な理由があるかどうか、労働者の自由を制限する程度はどの程度かと言うことなどで判断されます。

 

具体的にはその副業の内容、例えば競合他社に関連するものかどうか、自社の営業に影響与える副業かどうか、つまり対立関係にあるような仕事をする場合、これを会社が規制することは許されることが多いでしょう。

 

その他 あなたが副業に費やす時間、 一時的な副業かそれとも継続的に副業が続くか などの視点が、重要になるでしょう。

 

今回のあなたのケースでは、休日にパソコンを使って商品を仕入れてパソコン上で販売すると言う態様なので、あなたが会社の情報を利用して自社類似商品を売るとか、あなたの会社のライバルになるようなことがなければ、 そして、その副業にかける時間も常識の範囲内程度にしておけば、 会社での労働に支障が出るようなことも考えにくいです。

 

よって今回の事案で会社があなたの副業を不許可にした判断は法律上違法である可能性が高いです。

したがって、その違法な処分を根拠とした懲戒処分や解雇は法的に効力を持たないことになると考えます。

現実的対処

法律上は上記のようにに考えられますが、

あなたが不許可された副業を内緒で始めて、これが発覚した場合

で述べたような事態に陥ることが予想されます。

 

ですので、そのような面倒を避けるためにも、会社と話し合い、今回の不許可処分を取り消して、逆に会社に許可してもらうように交渉することが良いと思います。