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民事

会社員の副業 その1

相談

私は、会社員として働きながら、 休日など空いた時間に副業を始めたいと思っています。

少しでも家族の収入の足しになればと思うからです。

ネット上で商品を仕入れてネット上で売るいわゆるインターネットを使った「せどり」を考えています。

しかし、会社は副業を一切禁止しています。

私の考える副業は会社の業務とは全く関係がありません。

会社に黙って副業を始めたら解雇されるんでしょうか?

回答

会社とあなたの間の労働契約の内容は就業規則によって規律されます。

したがってまずあなたは就業規則を確認してそのような副業禁止規定があるか確認されることをお勧めします。

それがないんであれば副業を始めて問題ないです。

 

残念ながら、会社の就業規則に一律禁止規定があった場合はどのように考えるべきでしょうか。

 

確かに、会社としては、休日や就労時間外に、労働者が働くと、

その会社員に疲労が蓄積されることによって会社での仕事に影響が出ることや、

その会社内での営業秘密が副業によって社会に流れ出すこと、

 

などを防ぐために、社員に対し副業を無制限に認めるわけにはいかないと言う態度をとることにも一定の合理性はあります。

 

しかし、 労働者が休日や就労時間外の時間をどのように使うかは労働者のまったくの自由で、そこに会社が口を出す事は原則としてできないのです。

休日に働くこともその労働者の自由です。

一律禁止規定はこの労働者の自由に対する制限がとても大きな規定です。

ですので、就業規則上副業の一律禁止規定があった場合でも、就業規則のその部分は民法90条により無効になると考えます。

よって、本件の場合、副業をする事は法律上はできると言うふうに私は考えます。

現実的対処

  しかし現実は、そのような副業が発覚した場合、懲戒処分を受けたり、懲戒処分が何度か続いた上で解雇と言う処分を受けることもあるかもしれません。

その場合は裁判所でその懲戒処分や、解雇処分の無効を争う裁判その他法的手続きを取らないといけなくなるでしょう。

その場合弁護士を立てて行うことになるでしょうが、それらの弁護士費用や時間的コスト、労働環境の悪化、 要は会社にいづらくなったりする事をなどの状況が発生することが予想されます。

この辺は法律上の考え方と、現実社会での対応と言う観点からなかなか悩ましい問題です。

 

次回は副業の一律禁止規定ではなくて、許可制を会社が採用している場合についても考えてみたいと思います。