相談
遺言は書いておいた方が良いと聞くことがあります。
自分が死んだとのことなので、私には直接関係ないことにように思います。
遺言はしておく必要があるのでしょうか?
回答
子供が一人か二人の場合で、かつ、遺産が少ない場合は、遺言はしなくてもいいんじゃないかとは個人的に思っています。
他方、子供が多いとき、または、子供がおらず兄弟や甥っ子、姪っ子にまで相続人の範囲が及ぶ時は遺言をお勧めします。
ご質問の通り、遺言は相談者さんの死亡した後の出来事ですので、遺言してもしなくても直接的には相談者さんには関係のない事と言えるかもしれません。
しかし、相続人が多数いる場合、その遺産分割の協議はとても煩雑なものになります。 その理由は相続人が多数いればいるほど、それぞれ異なる考え方の人が混じってくるので、一つの合意に達することはより難しくなるからです。
「うちの家族や親族に限って財産争いはしない」と思っておられる方でも、よく遺産分割で揉めてしまって相談に来られることがあります。
やはり金銭関係が絡むと物事の解決は容易でない側面もあるようです。
また相続人が多数いる場合、それらの方々のお住まいの地域が全国各地に散らばっている場合も多いです。
皆が一堂に会して話し合いの機会を持つことはとても難しくなります。
したがって、このような場合、相続が進まず、土地なんかが、ずっとお亡くなりになった方の名義のまま、預貯金もそのままで、10年20年経ってしまうことがあります。
このように残された相続人が困ってしまう場合を避けるために遺言が有効であると考えています。
加えて、遺言の中で遺言執行者というものをつけておくとよりスムーズに遺言の執行ができます。
執行者には弁護士もなれます。弁護士に頼んでおくとよりスムーズに遺言の内容を実現でき、残された相続人も楽になるでしょう。
もちろん、遺言によって「誰か一人に財産が偏りすぎる。」といった場面では、遺留分減殺請求というものがあります。
これによって相続人間で争いが生じるということはあり得ます。
しかし、遺言をしてない場合と比べると、あなたがお亡くなりになった後に、相続人は、法律上は制限なく遺言の内容の実現ができます。
よって、子供が多いとき、または、子供がおらず兄弟や甥っ子、姪っ子にまで相続人の範囲が及ぶ時は遺言がやはりお勧めなのです。
遺留分減殺請求も請求期間の制限があったりするので、遺言で遺産をもらえなかった相続人もこれを断念せざるを得ないということもあり得るからです。